ここでは、6次産業化に必要と思われる人材育成について整理したいと思う。事業者は、計画段階から人材の確保と人材育成が求められており、次のことが必要であると考えられる。
人材毎のスキルマップを作成する
今考えられる人材を列挙する。これは、内部外部人材含めて自分に係る又は事業に係る人材ネットワーク図を構築し、見える化することである。そして、各々個人が持っている強みを見つけ、当事業へ貢献できる項目を作成し、個人毎のスキルマップを作成する。そうすることによって、自分たちの足りてる部分と足りてない部分が明確になり、足りない部分を補うためにどうすれば良いか見いだすことができる。スキルマップは一度作成すればいいのではなく、絶えず更新するものであり、各事業ステージによって、より高いスキルの向上を必要とする。6次産業化の事業を成功するためには人材確保が重要であり、初期の段階からこれを構築することを強く勧める。
人複合型人材の形成

事業の初期ステージにおいて多くの人材を確保することは難しい。しかし求められる要求事項は一気に増加する。そのため、それぞれの個人は一つのスキルが高いだけではなく、複合的なスキルを身につけなければならない。自己学習や各種セミナー、eラーニング等の活用、外部有識者や専門家等のコンサルティングやアドバイスを受け複合型人材になる必要がある。これは経営者だけでなく、係るメンバー各々が身につけていく仕組みを構築する必要がある。
各セクション毎のPDCAサイクルのスピード
生産(1次側)、加工製造(2次側)、流通・販売(3次側)では、それぞれ解決していくスピードが違うことを認識する必要がある。生産(1次側)では、1年を通したゆっくりと流れる動き、販売側には即断即決しなければいけない動きがありそれぞれスピードの違いがある。よってセクション毎にPDCAサイクルによる、事業の回すスピードを変えてコンサルティングを行うことが必要である。特に生産現場においては年間計画のふり返り、改善などの話し合いや記録がおろそかになることが多いので、1週間をワンサイクルとしてPDCAサイクルを回して定点観測を行い、事業の進捗を管理するよう取り組む。
小さな成功を積み重ねるクセを身につける
6次産業の場合、事業展開が他産業に比べて遅く、事業結果が反映するまでの日数が長い。6次産業化を進めている事業者の黒字化まで約4年かかっている。そうしたなかで、経営者はじめ事業に係るメンバーのモチベーションを維持させることは難しい。大きな成功だけではなく、小さな成功体験を身につける必要がある。これは、事業課題一つ一つが解決できたときに皆で成功体験を共有することや、できる限り最終製品に近いものを早い段階から試験販売して、成功することのイメージを掴んでもらうことなど工夫をしてみる。当事者である事業者は持続的にモチベーションを高めておくために外部の第三者である指導者や専門家自身のモチベーションも非常に重要な意味を持つ。
初期段階から生産現場の人材確保を!

成功している6次産業化事業体は必ずと言っていいほど、それぞれのセクションで人材が形成されている。また、生産の拡大に伴う労働者の確保がスムーズな会社ほどその後の事業発展に寄与している。事業の計画段階からその後発展した時に困らない様に、人材確保のためのアンテナを張り、雇用できるようにすることが望ましい。都心部と違い農村部は担い手の確保が非常に困難である。これからは、海外人材の雇用も一つの手段として頭に入れておいて欲しい。